八街国際理解大学 第1回 2023年7月22日(土)
講師 高瀬 義彦

ホーム  Home > 活動紹介  Recent Events

演題 シリアに3年住んで深まったアラブ文化理解

 11名の方々にご参加いただき、八街市国際交流協会の主催する八街国際理解大学の第1回講座を開催しました。

 JICA-SV派遣:シリア国立ティシュリーン大学工学部メカトロニクス学科
 派遣期間:2006年10月~2009年10月
 職種/指導科目:電子工学/メカトロニクス
 自己紹介:1945年生まれ、日本の戦後社会、そして、電子計算機と同じ年齢
 派遣前研修: JICA事業とボランティア活動と異文化理解・文化相対主義を紹介。

 シリアでの生活:アラビア語現地研修、派遣先のメカトロニクス学科での学生、教員、その家族との出会いを紹介。
学科の助手が日本留学を希望したので支援し、文部科学省奨学金留学生に合格、修士修了後、本人の努力で博士課程に進み博士号を取得した。 シリア内戦が発生し彼は帰国困難になり日本の会社に就職し日本人と結婚し日本に住むことになった。
学科学生には女性が多く、日本人がイスラム社会に抱きがちなステレオタイプはみられないこと、 接したシリアの人々は外国人に対しても友人のように接することが多く、 このような文化の源流は何かと考えた。

 シリア文化の源流:源流として「歴史的シリア」と「文明の十字路」に注目した。
 文明の十字路:時代毎の遺跡が現存、パルミラ遺跡等を紹介した。
 シリア文化の現在:イスラムとキリスト教文化共存、ダンス、被服、食を紹介。

 深まったアラブ文化理解:アラビア数字、イスラム黄金時代、千夜一夜物語に見られる人々の生きざま、伝統ダンス等を紹介。 文化相対主義の立場に立てば、互いのお国柄を尊重できるとの思いで2009年に帰国。 しかし、2011年内戦が発生した。

 シリア内戦:国際ニュースの記事を元に、高橋放送大学名誉教授の解説を紹介。
 人間の安全保障:内戦により文化相対主義の限界を知る。 限界を補う視点として、元JICA理事長の緒方貞子氏が国連で提唱した人間の安全保障の考えに注目した。

 派遣先大学の今:2023年現在のメカトロニクス学科の写真が示され、内戦の痕跡はなく、2006年赴任した当時と同様であると紹介、 内戦の克服が望まれた。
 

聴講者からの質問
 Qシリアの人口は?⇒A約2,156万人
 Q大学の講義は何語で行ったか?⇒A英語、シリアの学生は英語上手だった。
 Qノーベル平和賞受賞のグラミン銀行とは?
 ⇒Aバングラデシュ人で米国に留学した経済学者が、貧困層を対象に少額融資とグループ連帯責任返済制度などの独自の銀行を立ち上げ貧困層の経済的自立に対しおおきな貢献をしたことによる受賞。
 

報告者の感想
 日常において馴染みのないイスラム圏、特にシリアについてのお話が聞けて、大変参考になりました。
 お祈りを促す「アザーン」音声、ラクダの隊商、伝統ダンス、千夜一夜物語に合う音楽を発表資料に入れていたが、 音声出力はできなかった。

Page Top
問い合わせ先: 千葉県JICAシニアボランティアの会
Copyright © Chiba JICA Senior Volunteers Association