今年度より「うらやす市民大学」で『開発途上国から学ぶ』というタイトルで9回の講座が計画されています。
うらやす市民大学のシリーズ講座『開発途上国から学ぶ』最終回の第十回(講師の事情により一部変更して実施)として、2019年12月4日に中西陽典講師による
「私のキャリアとJICAボランティア活動」と題した講座が開催されました。
手違いにより講義が30分遅れて始まりましたが、内容は極めて濃いものでした。受講生からは「今日の授業は本講座の目指しているポイントが
明確であった。本講座の神髄とも言える内容であった。」という感想が述べられました。講座終了後の受講生アンケートで、
中西講師の再登場を要望する声が多々ありました。
講師到着までの30分間で受講生と講座全体の振り返りを行うことができました。受講生からは観光案内的なものではなく、
講師自身の感じたことを一人称で伝えてもらうことが良いとの意見がありました。来年度講座の参考にしたいと思います。
以下講義内容を示します。
中西氏は民間企業で海外事業に関わる業務に携わり、退職後にJICAシニア海外ボランティアとしてドミニカ共和国とアルゼンチンで 活動したことが紹介されました。
任国事情および活動内容が紹介されました。アルゼンチンの中小企業の現状と課題について、中西氏の思うところが詳細に説明されました。
その一例として、戦後長く続いたポピュリズム政権(ペロニズム)による過度の福祉政策(手厚い年金)、国内産業保護のための輸入規制、
公共機関に対する補助金行政が企業の自助努力と創意工夫を阻害している面が強いことです。
また活動にあたってスペイン語の能力が十分でなく、改善と強化策に関し、具体的提言と成果の実現の面で、充分でなかった等自身の反省点が述べ
られ、開発国支援に対しても、支援内容が支援国に定着するよう、人材の育成、システムの構築に留意する必要がある等の提言が示されました。
海外でのキャリアを通じて、世界が多様であることに気づき、人々の考え方、暮らしぶりが独自の文化を形成していることを学んだこと、
また自身の経験から得られた異文化に対する大局観(鳥の眼と蟻の眼を持つこと、議論のベースを合わせること、何を評価の基準にしているか
明確に示すこと、複眼的、客観的見方を心がけること)が述べられました。
国際協力の意義、主体となるもの、形態などについて自身の経験を基に説明されました。
例:現在のグローバル化した社会では国際協力の機会は何時でも、何処にでもある。国際機関、国、行政、NPO/NGO、個人等国際協力の主体も
様々であり、職業、業務としてあるいはボランテイアとして、自分に合った形で、国際協力に参加し、世界平和、民生の向上に貢献したらよい。