レポート パラグアイの資源開発                  品川 洋之助

パラグアイはあまり天然資源に恵まれてはおりません。またその開発も不十分といえます。

JICA ではパラグアイの資源開発を援助するため、農業資源、林業資源、鉱業資源の開発に役立つ技術移転を進め、 1992 年からこれまで延 20 人に近いシニア海外ボランティアを派遣してきました。

パラグアイの観光資源は世界三大瀑布の一つであるイグアスの滝が国境を少し離れたところにありますが、それ以外にはイエズス会ミッシヨンの Jesus 遺跡(ユネスコ世界遺産)があるくらいです。

観光資源 イグアスの滝 観光資源 Jesus 遺跡
ユネスコ世界遺産

農林資源は日本人入植者が苦心して開発した大豆が有名ですが、稲作、ヒマワリ栽培、果樹栽培も盛んで、輸出国となっております。

農林資源 水田風景 農林資源 ヒマワリ畑

畜産は牛が主で、人口を遥かに超える頭数が飼育されております。肉は欧州にも輸出されておりますが、皮革産業はなめしの技術が低く、これからの産業といえます。

恵まれているのは水力資源で、パラナ川の豊富な水量を利用して「イタイプ国際水力発電所」をブラジルとの合弁で、下流の「ヤシレタ国際水力発電所」をアルゼンチンとの合弁で建設し、パラグアイは国内消費分の十倍を大きく超える電力をブラジル、アルゼンチン両国に売電し、重要な外貨収入としています。イタイプダムは単一ダムとしては、世界最大級で、上の観光資源で触れた「イグアスの滝」と共に観光地にもなっています。

蓄産資源 牛の放牧 水力資源 ITAIPU 国際水力発電所

鉱物資源は乏しく、パラグアイ北部の石灰岩を原料としたセメント生産及び粘土を原料とした陶器・建材の生産が特筆されるぐらいです。また、貴金属では非商業規模の砂金の鉱床がビジャリカ近くで発見されています。

鉱物資源 鉄鉱石採掘跡 鉱物資源 金鉱石探鉱跡
私は 2000 年 10 月から 2002 年 10 月まで、パラグアイ共和国公共事業省鉱山・エネルギー省鉱山部(カウンターパートは鉱山部長)に JICA シニア海外ボランティアとして派遣され、鉱物資源の調査・開発(指導科目)に関するアドバイザーとして勤務しました。この間パラグアイ東部地域(含む国境付近フロンテア)の野外調査を計 8 回延 24 日行いました。
鉱物資源
石灰岩鉱床(層状の部分)
鉱物資源 粘土鉱床調査
中央立っているのが筆者
42 年間サラリーマンとして、国内外の石炭・石油・天然ガス探鉱業務にかかわり、退職後「余熱」を利用して JICA のシニア海外ボランティアとしてパラグアイに派遣され、初めてのスペイン語圏でカソリックなどの異文化体験をし、非資源国、開発途上国での技術移転を通じてパラグアイ人との交流により人生の価値観が変わりました。それによってボランテイア精神が触発され、以後の自らの生活規範・生きがいとして現在のボランティア活動に至っています。

以上