トンガ王国で活動中!


トンガ人経営の大野菜農場

日本向けのカボチャの播種作業

日本向けサトイモ畑

いつも南太平洋を眺めています

首都の中心部 高い建物は教会

ハアモンガ遺跡にてトンガ語の先生

王宮開放日

中央市場

バニラの取引

主食のヤムイモ(ナガイモの類)

ヘイララ祭り高校生ブラバンと

子供たち

王宮庭園での国王誕生日午餐

農業省本省前で(2010/8/19) 
農業大臣(前列中央)、政務官(右隣)、左二人目が報告者

活動中のレポート: 「トンガ王国でのSV活動」  吉原久雄

7月は、国王ツポウ5世の誕生日を祝う「ヘイララ祭り」が開催中です。ヘイララは樹の名前、その薄オレンジ色の小さな花は国花で、レイに使われます。

祭りはミストンガ選考、ブロックパーティー(大テントの中にステージを設置、生バンドの演奏、各種ダンス、広場に各種出店が出る、日本で言うパーティーではない)、ミスギャラクシィー選考(ゲイ、市民権を得ています)、パレードなど。そしてホテルでの外交団が集まる本格的ディナーパーティーと続きます。

16日のブロックパーティーに日本チームはJICA 協力隊員(JV)が中心となって「日本の夏祭り」をテーマに参加、七夕飾り、ヨーヨー釣り、肥満度チェック(保健隊員達が来場者の身長体重を測り計数を出し、用紙に記録を書いて渡す。同時にデータを集める)などを行いました。在トンガ日本大使館は広報活動として、各種広報雑誌を配布、また民間の「巻き寿司」店も出店、大盛況でした。たった一日、時間は何と18:00-24:00まで。

24日のパレードに向け、仕事終了後JVとシニア海外ボランテイア(SV)が集まって、山車(ピックアップトラック)の飾り付け準備とダンスの練習に余念がありません。SVは裏方です。

この時期7-9月は少し寒い時期にあたります。南(南極)からの寒い風が吹き朝の気温が15-20℃、日中は日射が強く30℃近くなります。今年は雨が少ないので作物栽培は困り、市民は水不足を心配しています。1-3月は雨期で暑く、今年はサイクロンが二つ襲来し大きな被害が出ました。

さて、私は今年1月、首都ヌクアロファに着任しました。農業食糧森林漁業省(以下農業省)で政務官に農業政策をアドバイスする業務です。と言って私の知っている分野は農業生産、輸出農産物の振興と農業教育です。今までの経験から、役所だけでの仕事では効果が上がらないと判断し、役所で半分仕事、民間大規模農場で栽培指導、輸出業者に貿易を指導、これが半分です。この方針は最初からJICAトンガ事務所と農業省に 伝えて了解を得ています。

具体的には、「第一回 トンガ ジャイアントカボチャ コンテスト」を企画し農業関係者の結束と楽しさを伝え、日本にカボチャのメッセージを送ること。本格的な有機農業の紹介、農産物の品質アップのための栽培技術指導、日本の農産物輸入業者の紹介などを行っています。

南海の孤島トンガ、100年前ならば楽園だったのでしょうが、今は世界経済の荒波をモロに受け、時代の波に飲み込まれています。市民は現金収入が少ないのに物質的に日本と変わりない生活です。電気・家庭電化製品・衛星TV・インターネット・自動車・燃料・携帯電話などが必要ですが、国産品は一切なく、全てが輸入品です。トンガの産業は農業と漁業があるだけ、これも足りているわけではありません。国民の経済は海外出稼ぎ者の仕送りで成り立っているとのこと。世界経済が後退すると、在外トンガ人の収入が減りその結果「送金額が減る」のです。国の税収はわずかなので、国家経済は海外諸国の援助が必要です。だから小さな政府、質素な政府です。農業省は最重要官庁の一つですが人員・建物と設備・機材など充分ではないようです。

地勢は、南太平洋に散在する珊瑚礁、火山島で169の小島からなる島国(南北600 km、東西200 km)。首都は隆起珊瑚礁のトンガタプ島にあります。国土は小さく699k㎡(千葉県の約1/7、東京23区より少し大きい)。人口はわずか12万人。

治安は良く、警官はピストル・警棒を持っていません。でも時々泥棒・車上荒らしの話は聞きます。
生活について、衣はほとんどの時期夏物で過ごせ、今の時期に朝夕のみジャンパーなど羽織るものが要ります。食について、トンガ料理はイモ類が主食、肉魚を蒸し焼きするウム料理があります。私の日常食は中華系の食堂で食べるか、自炊です。街の大やさい市場、港の魚市場、コンビニらしき店(華人系小売店で深夜まで営業)で食材を買います。大型スーパーマーケットでニュ-ジーランド(NZ)産の肉類・酪農製品が購入できます。住宅は建設コストが高いので、全体的には不足しているようで、大家族が一緒に住んでいる場合が多いようです。公共の賃貸住宅はありません。一方裕福層の大邸宅も多くあります。私はNZ製3LDK築20年のきれいな平屋の貸家に住んでいます。

交通について、首都のあるトンガタプ島は東西40km 南北30kmの小さい島なので、車で観光しても1日で充分回れる大きさです。ミニバスが主要村落とヌクアロファを結んでいますが台数が少ないため各1-2台が往復している程度、通勤と通学に利用されています。タクシーはありますが、夜は早く終業、日曜日はバス・タクシーともに休業です。自動車は日本の中古車が大半、メンテのしてない車が目立ちます。離島間は船と航空機がありますが、これも便数が少ないので予約を取るのが大変です。

この状況の中でカボチャの代わる何か輸出農産物を育成したい、高品質野菜の生産技術の普及したい、という気持ちでボチボチ働いています。

追記 8月2日、王宮庭園での午餐があり私は参列しまいました。正式招待ではないのですが、農業省の幹部がお手伝いに参上し、政務次官が特別に私の席を準備してくださったのでした。

以上