神秘の国 パプア・ニューギニア

パプア・ニューギニア(PNG)がどこにあるのかご存知の方はそう多くはないと思います。ご存知な方でもオセアニアの小さな島国だと思っていらっしゃるのではないでしょうか?PNGはオーストラリアの北北東に位置し、国土は日本の約1.25倍、人口は約700万人、一人当たりの所得は約1,300米ドルです。都市部を除けば、未だに多くの人々は自給自足生活を続けており、貨幣経済とは無縁の人々が多く住んでいる国でもあります。成田から毎週土曜日に直行便があり、6時間半のフライトで行くことができます。

私は、2008年9月からの2年間、国営の病院で使用される医薬品や医療用品の国内流通と、倉庫での在庫管理のアドバイザーとして、首都であるポートモレスビーで、パプアニューギニア政府の保健省(Department of National Health;日本の厚生労働省に当たる)で勤務しました。

流通に関しては、窃盗が日常化していて、多くの品物が輸送中に無くなってしまいます。着任直前には、倉庫の管理責任者が、医薬品の横流で逮捕されてしまいました。医薬品の移動や在庫の管理するシステムが、正確な数字をタイムリーに入力しないことから機能せず、品物が無くなっていることすら分からないことが多々ありました。この国の公務員は先進国以上に身分保障が強く、自主的に働くこともありません。部門の新しい責任者が赴任した時の挨拶が、“First of all, Come to work !!(まずは職場に来い)“だったのは、状況を良く表していると思います。職場に来るだけましと言う感じでしょうか?国民性は楽天的でフレンドリーです。半年も過ぎると、そんな怠け者達とも親交ができ、少しずつですがアドバイスに耳を傾けてくれるようになります。しかしながら、注文した品物がその後どうなっているのかを誰もフォローしないので、どうしても需要と供給のバランスが取れません。それが原因で、多くの欠品が発生すると同時に、有効期限切れで廃棄処分となる品物も多く発生してしまいます。廃棄品の削減を目標に掲げて努力しましたが、余り大きな成果が得られなかったのが残念でなりません。

PNGには約800とも言われる部族があり、部族意識が強く、同じ部落に住む者はみんな家族同様で助け合って生きています。部族の単位は“ワントク”と言われ、部族民にしか理解できない部族語を話します。部族ごとに言語が違うので、パプアニューギニアでは、約800の言語が存在しているとも言われています。部族ごとに刺青の模様が違うのも特徴です。奥地の村では電気もなく、ろうそくやランプを使う習慣もないことから、太陽と共に生活する原始的な生活を営んでいるところも少なくないようです。しかし、子供の笑顔はどこでも純真で心が洗われる気がします。現地人の暮らしぶりは決して豊かではなく、都市部では地方の村から何の目的もなく出てくる若者がホームレス状態で道にあふれ、それが治安を悪くしている原因にもなっています。通勤など移動はすべて車ですが、それでも交差点で止まったりすると、ドアを開けようとされることもしばしばで、ドアロックは忘れてはいけない習慣の一つです。

私の日常生活は、月曜から金曜日(9時~16時まで)勤務して、土日がお休みと言うサラリーマンに似た生活でした。勤務先が首都でしたので、必要な食材のほとんどはスーパーマーケットで手に入り、食事に不自由することはありません。しかし、ほとんどの物が輸入品で、物価(スーパーマーケット)は非常に高いです。白菜1個が1000円くらいします。日常の移動はすべて車でしたので、体力と健康を維持するために、毎日の食事管理(自炊)とスポーツ(テニス・ゴルフ)は欠かすことはできませんでした。私はスキューバの免許を持っていたので、ダイビングも楽しむことができました。海は本当に綺麗で、ダイバーからは隠れたダイビングスポットを言われているようです。

JICAの支援のお蔭で、観光では得られない体験をすることができました。また、現地の人たちとの交流を通じて、お互いの国の理解も深めることができたように感じます。異文化への理解とボランティア精神は、今後ますます重要になって行くと思います。


保健省のオフィス

ポートモレスビーの街並み

地方の医療品倉庫の従業員(ウェワク)

廃棄品(医療品)の山(ポートモレスビーの倉庫)

スーパーマーケット(ポートモレスビー)

ローカルマーケット(レイ)

町の移動手段は乗合いバス(ラバウル)

町の魚売り(レイ)

村の典型的な高床式の家

刺青は大人になった証(ツフィ)

屈託のない子供の笑顔は万国共通(アロタウ)

フェステイバル(ポートモレスビー)

以上