思い出の写真


ポンペイの有名なソケースロック

コスラエのコバルトブルーの海

カヌー等レジャー、マリーンスポーツはいつでもできます

教会でのクリスマス。各町内はマーチング・ダンスを競います

肌色は黒く、大きな目、鼻、体格がミクロネシアの人の特徴です

テントを張ったパーティ会場。豚の丸焼きも時々あります

老若男女のアカペラです
持ち寄りの料理。各家庭は一品何がしかの料理を持ち込みます

レポート:ミクロネシア連邦国(コスラエ州)の紹介     濱崎 丘

1.ミクロネシア連邦国の紹介

ミクロネシア連邦国は赤道近くの南太平洋の小さな連邦国家で、東西3000kmに渡って607の島々から構成されています。全部の島を足した面積が702平方kmで奄美大島とほぼ同じ大きさです。連邦国は4つの州で構成され、人口は約11万人(世銀2008年)です。

住民はミクロネシア系で、男女とも肌の色は黒く、大きな目、鼻、がっしりした体格が特徴です。4つの州はそれぞれ独自の言語を持ち、州間では言語は全く通用しません。そのため公用語として英語が採用され、小さい時から英語の教育を受けています。

どの州内にもバスなどの公共交通機関がなく、もっぱら自家用車かタクシーか、またはヒッチハイクで移動します。州間は飛行機か連絡輸送船で移動します。

2.コスラエ州の紹介

私は連邦国の一州であるコスラエ州で2009年から2010年の10カ月間、運輸インフラ局で廃棄物対策に関する指導を行ってきました。私の仕事を含め、ミクロネシアでの環境問題への取り組みについては下記のブログを参照してください。 http://blog.goo.ne.jp/micro_jocv

ここでは私が生活したコスラエ州について紹介します。

この州はミクロネシア連邦の最東端に位置し、面積116平方km、人口約7,700人(2000年センサス、ミクロネシア全人口の7%)のひっそりとした小さな島です。周囲はサンゴ礁に囲まれ、島の70%が熱帯性のジャングルに覆われたミクロネシアでもっとも手つかずの自然が残る火山島です。赤道に近いため、太陽はいつも頭上にあり、四季はありません。気温は26℃~30℃強で、思ったよりは低い温度です。しかし年間降雨量は3000mm~4000mmと日本の3倍近くもあり、特に雨後はむっとする多湿の世界になります。生息する生物も多様で、かび、あり、蚊、ハエなど多数です。油断すると本などの紙類もシロアリに食べられ無残な姿になります。鶏は野生で、時には空中を20m~30mは平気で飛びます。ただし蛇がいないので、ジャングルへは安心して入れます。

島を取り囲むガラスのような透明度を誇る海では、一年中スキューバダイビングが可能で、海底のサンゴに覆われた異空間を満喫することができます。またマングローブ林のアウトリガーツアーも楽しめます。白い砂浜を歩けば毎日この光景が目に入ります。

3.人々の生活

コスラエの人々の生活の中心には教会があります。島民のほとんどがキリスト教徒で、その90%がプロテスタント教会に属しています。特に日曜日は家族揃って、男性は長ズボンに襟付きのシャツを、女性はドレスで正装して教会の礼拝に行き、説教を聞き、ゴスペルを合唱します。

このゴスペルはオルガンの伴奏なしのアカペラで島民全員が歌います。男性はバスとバリトン、女性はソプラノとアルトの4つのパートに分かれています。ソプラノの甲高い声に残りのパートが続き、これらが最初はバラバラの不協和音なのですが、ものの20秒もするとちゃんとハモって心に響く音楽に変わっていきます。自分が受け持つパートは小さい時に決められていて、いつもそのパートで鍛えていきますから見事なものです。

礼拝後は友人宅を訪問したり、読書をしたり、昼寝をしたりしてしのぎます。料理、洗濯、掃除、水泳、散歩など身体を動かすことは一切してはいけません。もちろん酒類の飲酒も厳禁で、ただただ安息するだけの日となります。一般のツーリストにとっては厳しい?日曜日になります。私もさすがに一度「これは動くなということか?」と尋ねたことがありました。

教会とともに生きるコスラエの人々にとって、一年の中でもやはりクリスマスは特別です。島をあげてのお祝いがあります。老いも若きもマーチング・ダンスで教会内を練り歩くのです。町内会単位、家族単位でチームを作り、数か月前から練習を重ね、12月25日の本番では、その成果を競います。一チームは50名から100名の大人数になりますが、中にはイチクミ(一組),ニクミ(二組),サンクミ(三組)などと日本名がついた町内もあります。ゴスペルを歌いながらジグザグ行進し、Merryの頭文字MやHappyの頭文字Hの文字を交差しながら人文字もつくっていきます。何の文字なのか横から見ている観客には判り辛いのですが、天上からはMやHの文字がはっきりわかるのでしょう。日本の正月、盆踊り、運動会が一遍に来たみたいに大変賑やかな大会になります。

またコスラエでは、宗教に関係した祝日、結婚式、葬式では、各家庭で料理を持ち寄り、その交換をする習慣があります。各人が何かの料理を一品つくり、野外のテント会場(または室内)に持ち込みます。それから皆でワイワイとその料理の山を食べ、残った料理は自分の家族用に集めて持ち帰ります。

料理と言えば、この島には天ぷらがあります。こちらでは小麦粉を水で溶いて揚げるようですが、私は繋ぎに卵を多めに使ってエビの天ぷらを作ったことがありました。コスラエの人々からは「うまい!いつものと違う、これは何だ?」との声が上がるほど評判は上々で、「Tokyo天ぷら」と勝手に命名して、その作り方を披露した時もありました。 パーティでの余興はやはりアカペラのゴスペルです。

小さな島ですが、浜辺にうちよせる波音とともに豊かな音楽が息づく島でもあります。
是非ミクロネシアを訪ねてみてください。

以上