南米の内陸国ボリビア - チェ・ゲバラ終焉の地     及川 淳一

国土面積が日本の3倍の約110万平方km、人口は886万人(2005年 日本の道府県別人口第2位の大阪府に匹敵)、南米大陸の西側を背骨のようにアンデス山脈が縦断し、その山脈が東西に峰別れしたあたりに海のない内陸国ボリビアがあります。

アンデス山脈が東西に分かれてできた高原(標高4,000m)の一部が侵食された狭い谷の中に、同国政府の主要機関が集中する事実上の首都ラパス(標高3,600m)があります(憲法上の首都は世界文化遺産に登録されているスクレ)。インカ文明の発祥の地とされるテワナク遺跡、標高3,800mのチチカカ湖、ウユニ塩湖などもこの山脈の中にあります。

しかし、この国は豊かな天然資源を持ちながら南米の最貧国とされ、100万人以上の人びとが周辺国やスペインへ出稼ぎに出ているといわれています。

2006年に南米で最初のインディオ出身のエボ・モラレス大統領が誕生しました。彼は虐げられてきた先住民の権利拡大などを指向した社会主義的な改革を行おうとしていますが、既得権を守ろうとする欧米系の移住者と激しく対立して、社会不安を引き起こしています。

この国は、多数の先住民が住むアンデス山脈周辺地域と、欧米系の住民が多いアマ ゾン河支流域地域との気候・風土・文化・宗教・習慣などの違いがはっきり分かれていて、深刻な対立を生んでいます。

たとえば、この国に九つある県のひとつで私の任地だったサンタクルス県は、アマゾ ン河支流域の平坦地(標高420m)にあって、今ではこの国の商業の中心地となった比較的 裕福な県ですが、日本の面積とほぼ同じ37万平方kmに人口はわずか150万人あまりで、たとえば私が派遣されていたサンタクルス県道路局が管理する県道(ほとんど土道)は4,000km以上(ちなみに北海道の稚内から沖縄の与那国島まで3,000km)の長大さで膨大な維持管理費を必要としており、そのほか、県民のさまざまな要求を満たすだけの行政を行うのは、財政的にもほとんど無理といえます。

日本の大部の国民にはなじみがないこの国にも、県都サンタクルス市の北方には、移住50周年を迎えた日系人の移住地が「オキナワ第一・第二・第三、サン・ファン」と四つもあり、大豆・小麦・コメ・野菜・サトウキビなどを生産するほか、畜産、酪農が盛んで、ボリビア農業の拠点となっています。

そして、このボリビアは革命家チェ・ゲバラの終焉の地でもあります。南米革命を夢見て作戦中のゲバラが1967年10月9日、ボリビア国軍にとらえられて処刑されたラ・イゲラ村は、アンデス山麓の寒村でした。

アンデス山脈の谷間にあるラパス 高層ビルで埋まるラパス中心地
インカ文明発祥とされるテイワナク遺跡
(世界文化遺産)
葦で作った舟が浮かぶチチカカ湖
450年掘り続くポトシの銀鉱山(世界文化遺産) ポトシの銀で出来た白壁の町スクレ(世界文化遺産)
イエズス会布教の拠点となったコンセプションの教会
(世界文化遺産)
ボリビア第2の都市サンタクルス(中央公園)
街を彩るタヒーボの花 サン・ファン移住地の運動会
南米大陸の夕陽 6000m級の峰々が連なるアンデス山脈
今も残る古代インカ道 アンデス山脈から流れて蛇行するアマゾン河支流
(ボリビア北部)
チェ・ゲバラ終焉の地ラ・イゲラ
アンデス山脈の町バジェ・グランデで
仲間と眠るゲバラ(左端の星印の墓)

以上