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レポート パナマ国の課題                  平田 輝雄

パナマ運河は久しく米国の支配下に置かれてきたが、米国は1998年以降軍事的重要度が弱まったと判断して運河から完全撤退した。現在運河の運用は民営化されパナマ人の手で運営されているが、運河自体は国有であり収入は国家財政に組み込まれている。然し、それ以来街や経済は次第に活気を失い、私が滞在した2005年までひき続き下降線をたどり、現在も経済動向は改善に向かう気配がありません。このことは、政治姿勢、国内産業の発展、消費者動向、国民の経済感覚など様々な要因があると思いますが、最も大きな原因は国民の物の考え方にあると思います。

パナマ国民は経済意識が乏しく、学力もそれほど高くない人々が政治家の言うことだけを鵜呑みにして物事を深刻に考えない点にあると思います。例えばパナマ運河の国家収入が国家予算のどの程度に相当するのかを考えれば政治家の発言が正しいかがわかる筈です。国民は国家予算が幾らで、運河の収入がどの程度あるかそうしたことを精査すれば、国家予算の32%程度になると言ったことがわかる筈です。政治家は、政治思案のなさや政策の失敗を棚上げしてそれらをごまかす為に「パナマには運河があるから国家が赤字や無理な国債発行で窮地に立つようなことは決してない」と言うのである。国家は国民に対してきちんと国家予算の収入・支出を公表し情報提示するのが当然ですが、政治家はごまかしや利権がらみで、何処までが本当であるか見えないのが事実です。

パナマの金融は米ドル市場であり、ドルで買い物や貯蓄もできます。パナマ貨幣はなく、造幣局はありません。また、パナマには電気機器、自動車工場、機械産業等物を生産する場が殆んど存在しません。自動車の整備工場、セメント工場、土木建設部門、レストラン、ス-パー等はありますが、カメラやコンピュ-タなどの修理はアメリカへ卸売業者が送って修理するシステムです。パナマは経済的に独立した国ではなくアメリカを中心とした周辺国に頼らなければ経済的に立ち行かない国と言えます。問題は国民の意識です。ごく一部の金持ちがアメリカへ留学した人達で、主に大学の教員や政治家やス-パーなどの経営者の人達です。それ以外の人達は国内教育によって勉強した人達です。

パナマには35程の大学がありますが国立大学は10校にも満たない数です。大学だけでなく、初、中、高でも教育の不備が目立ち、充分な教育が行なわれていない問題があります。教育期間は日本とさほどの違いは無いが、休業期間が長いことや効率が悪く成果が極めて悪いことが問題です。大学は5年制で日本と多少違いますが、パナマ工科大学では電気工学部の中に電子工学科、マイクロ電子工学科など、教科が複雑で何を中心に勉強するのか、自分の勉強が将来どの様に役立つのか学生自身がわかっていない。学生が将来どんな仕事につくかの目標を持って勉強していない状況である。学生が夢を持てないのは、自国に電子機器産業がなく電子工学を役立てる就職先がないことにも原因がある。

私は、こうした高学歴者の教育よりもパナマの初、中、高教育で「人づくり」が十分に出来ていないことを懸念します。日本でも最近の小、中、高校教育が問題になっているが、パナマは教育の質を国として模索している途上にあります。例えば、挨拶など礼儀作法、道徳心、責任感、職業観、人間関係、人の常識的規範、人の道に関する教育が感じられない。そのため、自動車の運転手、アパ-ト管理人、店の店員、銀行員、商社員、全ての人が自己中心的である。サ-ビスや遵法精神、責任観など社会的モラルがなく、自己中心の行動である。運転でウィンカーを使う人は10人中一人いればよい方である。会話は損得中心の話題が多く、他人の話は聞き流して自分の関心ごとに切り替え、自分の発言が間違っていても主張を曲げずに押し通し周囲への配慮がない。約束時間を守ることは殆んど無く20分、30分遅れるのは普通の事として通用する。このように自分勝手に振舞えば人間社会がどんな暮らしになるのか教えなければ、秩序ある社会や安全、安心が護れない。

ナマ国民が教育の在り方を正し誠実で豊かな生活に導くためには、国民が互いに人を思いやり生活に便利な環境や人々が住み易い安全、安心な社会を造りあげることである。暮らし易い社会にするには10年20年の歳月を要するが、これを断行しなければならない重要な問題と考えます。然し、国民が本当に立派な国造りを目指す決意と意志があれば、この教育刷新の課題を乗り越えて行ける。また、越えて行かなければならないと考えます。

パナマは今のまま先進国が国際協力を続けても決して発展向上することは出来ないと考えます。パナマ人がこのことに気づき、自ら教育や家庭の躾などの価値観を高めて自律の精神を初めとする国民としての自覚や人間性を高め、人としての道を学び真に求められるパナマ国に生れ変わることを強く望みます。

以上