レポート 「ベトナム点描」                     K.T.

ベトナムでの担当(指導科目)はベトナム地場企業(主として国有企業)への経営指導、助言で対象企業は20社を超えました。

本稿のテーマとしては、(1)垣間見たベトナム人の民情、(2)近代史と国情、及び最近注目を集めている(3)ビジネス環境について簡単に紹介することとします。

(1)ベトナム人の民情

インドシナ半島の東端に位置し南北に細長く伸びる国土に約8000万人の人口を有する国家である。一般に顔つき、肌色は日本人(及び中国人や朝鮮人)に似ており親近感を覚える。一部の山岳民族をのぞいて農耕民族系で古来中国文化の影響下にあり日常的行動規範として儒教、仏教の影響が見られる。言い換えれば家族的結合強く、一般に温和でかつ勤勉、協調性もあり組織順応性も高い。

無論高齢者や客人への応対は極めて丁重。一方、中国、フランス、米などの大国を相手に幾多の戦をくぐってきただけに内部には激しい闘争心を秘めた堅忍不抜の民族である。平均年齢は低く市街地は青年男女で溢れており老人は殆ど見かけない。

(2)ベトナム近代史と国情

近代以前には中国の度重なる侵略を撃退、圧力圧迫への反抗が繰り返されてきたが19世紀後半には遂にフランスの侵略によりその植民地と化した。過酷な植民地体制は太平洋戦争末期まで続いたが、戦後は南北に分断され 北は中ソ、南は米・仏の影響下に置かれた。(東西ドイツ、南北朝鮮と同様)その後は周知のとおり大国の利害とイデオロギーに引き裂かれた南北の間でベトナム戦争が戦われた。これは1970年代半ばまで続いたが甚大な戦禍の傷跡はいまだに癒えず。一例として米軍によって大量に散布された枯葉剤(ダイオキシン)による遺伝子異常・奇形児出産は三世代後の現在も多く見られる。

(3)ビジネス環境

ベトナム戦争を北が制した結果、統一国家に社会主義体制が導入されたわけであるが、その後のソビエト崩壊、米ソ冷戦の終結とともに1990年代に入ってベトナムにも改革、開放の気運が訪れた。(ドイモイ・・刷新運動と呼ぶ) 即ち社会主義政治体制を維持しながら計画経済体制から市場経済化への転換が進められ今日に至っている。しかしながら甚大な戦禍によるインフラ破壊といまなお払拭しきれぬ計画経済の残滓のため経済発展のスピードにおいて中国やタイ、マレーシアなどに大きな遅れをとったわけである。今後の展望としては国家体制としては柔軟な社会主義が継続するであろうが、経済政策としては市場経済化をさらに徹底させうるか、また如何に大胆かつスピーディに実行できるかが鍵となろう。 天然資源に恵まれているとは言い難いが、若くて良質の人的資源、さらには親日感情(理由は省略)でも周辺の東南アジア諸国に勝っており投資環境として大きな発展性を秘めていると考える。

以上