思い出の写真


獲りたての魚を客の注文に応じさばいている。

魚市場で買った鰹を手押し車一杯に積み込む男性。

国営水道局で支払いを済ませバイクに乗る人達。

モルディブの典型的な雑貨問屋の店頭。

建築業者(BISON)のトラックが工事人を運ぶ所。

レポート 「モルディブで柔道を教える」              柿沼 豊

私が今回短期派遣の活動の地となったモルディブはインド洋にある島国。インドとスリランカの南西に位置しその島数は1190と報告されている。そのうち住民が居住する島はおよそ200、他にリゾート目的のみに利用されている島が100近くある。人口は30万人でそのうちの10万人が首都マーレに暮らし人口密度は世界一と報告されている。私はそのマーレにあるモルディブ警察で7ヶ月、そしてマーレから南に約900キロの所にあるアッドゥー島(Addu)警察訓練学校で3ヶ月の計10ヶ月、「講道館護身術」及び「柔道基本技と理論」を中心に、加えて講座形式で柔道基本知識の指導を行って参りました。

派遣国からの要請内容にはモルディブ警察の誕生が6年程前で組織として非常に若く現役警察官の護身技術も未熟で近年急増する凶悪犯罪に十分対処出来ないことなどが書かれていました。
そこで派遣前2ヶ月間は活動10ヶ月間の「指導計画」と「指導内容」のドラフトを作ると同時に自分自身の体力づくりを目的とした所属クラブでの稽古と「技」のおさらいそして生徒達(警察官)に伝えるべき講道館柔道の基礎知識と実技「理論」の整理をして出発を待ちました。

現地配属先であるモルディブ警察の私への受け入れ態勢はきちんと確立しており、私の役割権限、補佐役、世話役、指導対象者とその人数、期待する指導内容も具体化されており最初に開いた関係者会議では「柔道コース」の内容詳細、日程表、時間割、生徒数などが討議されいつでも活動が始動できる段階にありました。

さて「柔道」ですが、モルディブに柔道の素地はほとんど無いと言っていいでしょう。柔道連盟も存在しませんし私が配属先内で聞き集めた情報では、柔道着(50着ほど)はタイから寄贈されたもの、畳代わりに使う体操用(?)マットは日本からの寄贈で、彼等が習った柔道らしき技(わざ)はタイで逮捕術研修を受けた者からの指導と聞かされました。この実情を知ってから私のやるべき事はより明確になり柔道コースの「指導内容」も充実させることが出来たような気がします。

10ヶ月間で設定した「柔道コース」は5回で履修期間は各々1ヶ月、1クラスの生徒数 は10名から20名に限定。第一回目の「講道館護身術21の技」以外は「柔道基本技コース」では講道館柔道の技から基本技30ほどを選び実践と理論の指導を行いました。生徒達は20代前半の現役の警察官ですが非常に熱心にコースに取り組み、日曜日から木曜日の5日間、朝9時からお昼をはさんで4時までの稽古をこなしてくれました。

当然、連日暑い日が続く環境です、体力的にも精神的にも消耗したでしょう。私も毎日へとへとの帰宅です。コースは1ヶ月間の長丁場、モルディブ人の補佐役なくしては全てのコースの完遂は不可能であったと考えます。それゆえ各コースの修了式で最善を尽くしてくれた生徒達一人ひとりの顔を見渡すたびに涙が出てきてしまい自分勝手な解釈かも知れませんが彼等の顔が1ヶ月間の稽古で凛々しくなったようにみえました。


柔道コース最終稽古日での合同写真。

柔道コース修了式で認定証を手にする生徒。

モルディブはイスラム教国家です、私はこの国で異文化を学び同時にその異文化環境の中で素晴らしい10ヶ月間を過ごす事が出来ました。

360度見渡すとそこにはブルーとグリーンの海が広がり、肌を刺すような太陽が照りつけます。海には外国からの真っ白な大きな客船、豪華なクルーザー、貨物船、島を結ぶ乗合船、そして漁師の操る小さな舟、それを見ながら海辺の大衆レストランでお茶を飲む時が私にとってモルディブに暮らす実感を味わい一番気持ちが落ち着く時間でもあった気がします。

最後になりますが、私の活動を支えてくれたモルディブ警察総監、担当部署長そしてJICAモルディブ事務所の皆様への感謝の気持ちで一杯です。

以上