レポート:「人類発祥の地、ザンビアから」       鈴木 核 

約19時間のフライトを経て3月末に降り立ったのは、ザンビアの首都ルサカの空港。そこでまず感じたのは、空の広さ。高い山、建物がなく、 見渡す限り空が広がっている。何となく懐かしい感じがするのは「アフリカは人類発祥の地だから」というのはあまりに穿った見方だろうか。

約1年前、突然「アフリカに行ってみたい!」と思い、ちょうどやっていたJICAの春募集の広告を目にし、ホームページに「何かできそうなことはないかな」と見に行ったのが、発端だった。 ザンビアの職業訓練校のマネージメントを改善する、という経営管理職種の要請をみつけ「これならできるかもしれない」と応募した。

     <ザンビアの首都、ルサカ国際空港>                                    <私が住んでいた住宅街> 

ザンビアは、1964年に英国から独立したキリスト教国。前回の東京オリンピックで、開会式には英国領北ローデシアとして入場したが、オリンピック期間中に独立を果たし、閉会式にはザンビア共和国として参列した。 

アフリカでもっとも平和な国の一つとして評価されており、独立以来内戦もなく、ザンビアの人たちは「One Zambia, One Nation」を合言葉に、自分たちは平和な民族、ということを誇りにしている。 

       <村の披露宴。結婚式は教会で>                                          <街の披露宴> 

「暑くて大変だったでしょ?」が日本でまず聞かれることだが、ザンビアでは7月ともなると、寒い!6月~7月は朝晩は冷え込み10℃以下の時も。10月が一番暑い月だが、それでも30℃くらいまで。人は礼儀正しく親切。スーパーのレジなどでもまず「ご機嫌いかが?」との挨拶から始まる。また、子供たちが年長者に挨拶するときは跪いてくれるので、こちらが恐縮してしまう。 

「私はライオンなど野生動物を見るとワクワクするが、こちらの人はどうなの」という質問に対し「まったく同じ。一生の間にそれらを見ない人だっている。ライオンが街中を歩いているわけではない」という答えだったのが面白くもあり、なんとなく嬉しくもあった。

      <サウス・ルアングア国立公園にて>                      <サウス・ルアングア国立公園にて> 

ザンビア銅の輸出で経済成長を遂げてきた国だが、気候変動による降雨量不足と市況の銅価格下落により、食糧・電力不足、経済停滞という問題を抱えている。「一極集中」であることが問題に拍車をかけており、計画を立案し実行することが不得手なことが、多様化が進まなかった要因と思われる。土地は豊か、水も豊富なことに加え、部族内、村落内、家族内の助けあいの精神も高く、「何とかなってきた」ことが背景にあるのではないだろうか。その文化は大切にしながらも、地道に計画・実行できる人材を多数育てることが、今後のザンビアの発展と人々のよりよい生活のために必要と思われる。 

派遣先である産業訓練センター(ITC) は、国管轄の職業訓練校であるが、国からの予算が限られているため、自力運営を図り、銅鉱山会社への派遣研修等で維持・成長してきた。

しかし、経済低迷に伴い受注が減り、それを補うため新たな市場/顧客開拓に取組んでいるが、種々の問題を抱え、なかなか上手くいっていない。スタッフへのインタビューなどを通してITCの状況を把握したところ、「問題は日本と同じじゃない!これなら役に立てそう」と感じた。具体的には、不十分な組織内コミュニケーション、非効率的な会議運営、不透明な業務プロセス、などが挙げられると共に、ザンビア固有の課題として、無計画な業務運営が見られた。また、副校長であるカウンター・パート(CP)の高圧的なコミュニケーションスタイルを何とかしてほしい、という要望が校長から出された。

そこで、活動目標として「全てのメンバーが活き活きとした、チームワークとコミュニケーションがとれた効率的で効果的な組織となるよう経営層をサポートすること」と設定し、CPの指導、ワークショップの開催、等種々の活動を行ったが、約束や時間に対する意識の違い、計画的に物事を進めるより目の前の課題をなんとかその場で対応してしまう文化・習慣などのため、当初目標に対しては36%の達成率に留まった。 

しかし、日本とザンビアのいいとこ取りをしたやり方をCPと試行錯誤しつつ進めた成果はあり、チームワークは掛け声だけだったのに対し、理解と意識が高まり「スタッフがお互い助け合う雰囲気が出てきた」という声が聞かれ、また、CPのコミュニケーションも相手のことを考えたものに変化し「反応的な面が減り、考えて対応していることがわかる」、「話をきちんと聞いてくれるようになった」、「背景を説明してくれるようになりITC全体のことを考えていることがわかった」等の声がスタッフから聞かれるようになった。

   <CPのロイド氏と/ボードは彼の週刊業務計画>       <チーム・ビルディング ワークショップ> 

何よりうれしかったのは、CPが学んだことを職場外でも活用し始めたことである。教会での打合せに計画性を持込んだ、とか関係組織に計画の提示を要望した、と話してくれた。また、CPのコミュニケーションの変化が評価され、私の帰任後、校長に昇進したという知らせも受け取った。 

今後CPを中心に、コミュニケーション改善、ミーティングの効率的効果的運営、計画的業務運営等を推進すると思われるが、実際に進めていくための、より大所高所に立った意識や、知識、経験は不足しており、この動きを活かすためには、継続して支援することが必要であろう。幸運なことに、私の帰任直後に後任が赴任し、サポートし始めている。 

理論先行で具体策がない、コミュニケーション/情報共有が不十分、計画的に業務運営しない/できない、といった問題はITC固有のものではなく、ザンビア全体の課題だと感じられるので、継続的支援によりITCが他の組織のモデルとなることで、ザンビア全体のレベルアップにつながることを期待すると共に、私も何らかの形でサポートを続けたいと考えている。 

家内と過ごした2年間はとても楽しいものだった。あまり乗り気でなかった家内も、帰国するときには涙を流し「また住むのはちょっと、だけどまた来たいね。」と言わしめたのは、ザンビアの自然の豊かさもさることながら、人々の心の温かさだったのではないだろうか。 

<世界3大瀑布のヴィクトリア・フォールズ>                     <同じ場所の水のない時期> 

   <赤ん坊にとても気に入られました>            <派遣先でフェアウェル・パーティーを開いてくれました> 

以上